戦略なき欧米諸国の対ロシア包囲網・・・


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【転載開始】

■戦略なき欧米諸国の対ロシア包囲網

 マーク・ガレオッティ(プラハ国際関係研究所上級研究員)

<ロシアの元スパイ暗殺未遂から外交官追放
 の報復合戦へと発展したが、イギリスは本気
 でプーチン支配の弱体化を目指すのか>

 3月4日にロシアの元情報部員セルゲイ・
スクリパリとその娘が英南部ソールズベリー
で神経剤を投与された殺人未遂事件に
ついて、英政府は当初、やや腰が引けた
対応をしていた。
だがそのうち、イギリスを筆頭に欧米諸国は
相次いで、自国に駐在するロシアの外交官
や当局者に国外退去を命令。
その規模は100人を超えている。

 対ロシア制裁をめぐる議論は、政治的に
どこまで実現可能かという話が中心だが、
イギリスは最も根本的な問題を避けている。
すなわち、イギリスが本当は何をしたいかだ。
目的が戦術を決めるのであり、その逆では
ない。

 現在の制裁の議論は、3つの大きな目的を
混同している。

 まず、イギリスの最大の目的は、ロシアを
牽制することなのか。
ロシアに報復する決意を明確に示し、政治や
外交の冒険主義は得られるものより代償の
ほうが大きいと、ウラジーミル・プーチン大統領
に警告することなのだろうか。

 外交官の追放、今夏にロシアで開催される
サッカーのワールドカップのボイコット、
ロシアをテロ支援国家に指定するといった
措置は、実際に与える影響はそれほど大きく
なさそうだ。
それでも、対抗する意思をロシアに表明する
ことになる。

 プーチンは今のところ、欧米諸国の軍事力、
経済力、ソフトパワーという客観的な力も、
行使する意思がなければほとんど無意味と
踏んでいるようだ。
この「意思のギャップ」を埋める姿勢を明確に
示すことは、抑止力の強力な要素となる。

 もちろん、短期的にはロシアも同様の措置
で対抗するだろう。
これまでの実績を考えれば、報復はエスカレート
し、欧米諸国はプーチンを挑発した代償として
受け止めるしかない。

■ロンドングラードの闇

 あるいはイギリスは、権力者が国を私物化する
というロシアの泥棒政治が及ぼす不健全な影響
から、自国を守りたいのだろうか。
英国内で起きたロシア絡みの暴力事件の大半は
ロシアの政府に関係する以上に、犯罪社会と
ビジネス界との密接なつながりに関連していると
思われる。

 「ロンドングラード」と呼ばれるイギリスのロシア人
コミュニティーは、モスクワのエリート層のマネー
ロンダリング(資金洗浄)に利用されている。
そこでの出来事はイギリス社会に影響を与える
だけでなく、ロシアの犯罪政権を助長してもいる。

 これに対抗するには、もっとはっきりと現金を
標的にするべきだ。
この手の資金の捜査は複雑で長期に及ぶ。
イギリス版FBIといわれる国家犯罪対策庁(NCA)
などの法執行機関が、ロシアの汚れたカネを
追跡するにはそれなりの予算と裁量権が必要だ。

 このような捜査では国際的な協力も不可欠に
なる。
資金を追跡して、その影響力をロンドンから
排除しても、パリやフランクフルト、ニューヨーク
に新たな安住の地を見つけるだけならほとんど
意味がない。

 魅力的なロシアマネーに背を向けるよう欧米
諸国を説得するのは難しいだろう。
だがロシア外交官を国外追放する動きが
広がっていることを考えれば、イギリスにとっては、
ロシアマネーの恩恵は有害過ぎるという自国の
経験を説き、欧米全体の問題だと納得させる
好機になるかもしれない。

 皮肉なことに、イギリスからロシアの資金を
追放することは、プーチンの仕事の一部を
肩代わりすることにもなる。
ロシア経済は14年頃から停滞しており、国外
への資本流出は痛手だ。
しかもプーチンは、自分の支配が及ばない
ところにエリート層がカネを隠すことを好まない。

 そこでプーチンは「脱オフショア化」を推し進め、
オリガルヒ(新興財閥)が資金を国内に戻すよう
に甘い言葉を並べたり、脅したりしている。
17年だけで総額313億ドルが国外に流出したが、
14年の1540億ドルに比べれば激減している。

■迷走のロシアマネー対策

 ただし、ロシアの資金とはいえプーチンの手中
に返すことは、イギリスとしては不本意かもしれ
ない。
というのも、イギリスの3つ目の目的は、おそらく
ロシア政府を弱体化させることだからだ。

 あからさまに政権交代を画策するのは危険だし、
逆効果になる可能性が高い。
しかしイギリスにとっては、対立的な地政学を
演出したがるロシアの勢いをそぐ好機になるかも
しれない。

 その場合は皮肉なことに、ロシアからイギリスへ
の資本逃避を歓迎しなければならない。

 これはプーチンの資源を間接的に奪うだけ
ではない。
エリート層が資本を国外に移すことをプーチン
が望まない理由の1つは、彼らの政治的な活動
につながる可能性を恐れているからだ。
オリガルヒの財布を握った欧米諸国が、
反プーチン的な政治行動やスパイ活動を強要
するかもしれない。

 一方で、ロシア政府の財政に直接、打撃を
与えることもできるだろう。
経済の低迷で財政難に陥ったロシアは欧米諸国
に多額の対外債務を抱えており、そこを攻めれば、
政権に対する深刻な攻撃になる。

 これら3つのアプローチには利点も危険もある。
ロシアの汚れたカネを、プーチン支配の弱体化を
名目に見逃すことは最も有害でリスクも高い。
だが、権謀術数をめぐらす策略家たちは好み
そうだ。

 ロシアの泥棒政治の影響をイギリスから
排除することは称賛に値し、迅速に実現する
べきだが、将来の抑止力にはほとんどつな
がらない。
同じように、プーチンに対する政治的報復を
エスカレートさせても、さらに激しい反撃を
浴びることは間違いなさそうだ。

 とにかく、まずは戦略的な目的を明確に固める
ことだ。
イギリスに「できること」を考えてから継ぎはぎの
戦略を当てはめるのではなく、最終的な目標を
決めて、それを基にプロセスを進めていくことが
肝要だ。

From Foreign Policy Magazine

<本誌2018年4月10日号掲載>

【転載終了】

***********************

 この辺の動きも世界経済に影響を与え
そうですね。

 世界は、きれい、汚いに関わらず、
国益のために熾烈な外交戦略で戦って
います。

 日本は、自民党が政権を持つ限り、
清和会のようにアメリカの国益に従い、
命令されるままに動いているだけです。

 北朝鮮問題然り、アメリカの命令のまま、
圧力一辺倒で来たら、突然梯子を外され、
米朝会談となりました。

 焦った安倍政権は、慌てて日朝会談に
舵を切りましたが、北朝鮮に足元も見られ、
金銭的な要求をされるだけでしょう。

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