マイナス金利が年金を脅かす・・・


先の記事で日銀に触れたので、一部転載します。

現代ビジネス:経済の死角より。

【転載開始】

■マイナス金利が年金を脅かす

黒田総裁はマイナス金利政策について「投資の空前のチャンス」などと
バラ色の経済効果が生まれると謳うが、佐藤氏は期待できないと真っ向から否定。
むしろ「負の影響」をもたらしているとの批判を繰り広げる。

「1月会合(注・日銀がマイナス金利政策の導入を決めたのが1月の政策決定会合)後
ほどなくして株式市場は銀行株を筆頭に急落し、為替市場は円高となった。また
MMF(公社債投信の一種)や中期国債ファンドといった安全運用商品の募集停止・
繰り上げ償還の動きが相次いだ。

これらを受け、マインドも悪化した。預金の目減りへの不安感はもとより、マイナス金利
という奇策を取らねばならないほど日本経済は悪化しているという誤った認識が浸透した
ことが要因と思われる」

実際、これは庶民がマイナス金利政策に対して感じている肌感覚と一致するものだろう。

日銀現役行員も言う。

「実は日銀内部でもマイナス金利政策については『失敗は明らか』『撤退したほうがいい』
という声が出ている。しかし、総裁肝煎りの政策なだけに、表立ってそれを言える人はいない。
佐藤氏が『代弁』してくれたことで、留飲を下げている行員は少なくない」

佐藤発言を続けて見ると、日銀がマイナス金利政策を今後も継続した場合、
われわれの「年金」にまで悪影響が及びかねないと言う。

「金利低下は長期・超長期ゾーンで著しいが、20~40年といった超長期の資金調達を行う、
ないしはできる民間経済主体はほとんど存在しない。

むしろ、こうしたゾーンの過度の金利低下が年金負債などの割引率低下を通じて、
企業年金を含む広義の社会保障制度の持続性を脅かすほか、企業財務に相応の
マイナス影響を及ぼし、人々のコンフィデンスを損なう可能性もある」

そんな佐藤氏の懸念はさっそく的中している。

6月8日、三菱東京UFJ銀行が日本国債の入札に特別な条件で参加できる資格を
返上すると報じられた。

これは三菱東京UFJ銀行がマイナス金利下で国債を保有していることで損失が膨らみ、
財務に致命的な影響が出かねないと見ての決断。
マイナス金利が銀行経営に「実害」を与えていることが証明されたわけである。

「三菱UFJFGにとって、マイナス金利は1000億円規模の減益要因。これほどの巨額損失を
被って怒り心頭の平野信行社長は、5月の決算会見の場で『マイナス金利で経済・金融に
対する先行き不透明感が払拭できない』『追い風から向かい風に変わった』とぶちまけた。

民間銀トップが公に日銀への不満を語るのは異例だが、それほどはらわたが煮えくり
返っている」(前出・外資系幹部)

■日本は今後も「低空飛行」

再び佐藤発言に戻れば、
実は批判の矛先は黒田総裁の「デフレ脱却政策」にも向けられている。

周知のとおり、黒田総裁は就任当初より「2年で2%の物価目標」を掲げて、
デフレ脱却を宣言。
直近では「物価の基調は着実に改善している」と順調に進んでいるかのように語っている。

しかし、佐藤氏はこうした黒田総裁の楽観論を、
「見通し期間中に2%の『物価安定の目標』に到達しない」とバッサリ。
そのうえで、黒田総裁によるデフレ脱却策の限界にまで言及したのだ。

「日本銀行は『2年程度の期間を念頭に置いて、できるだけ早期に』2%の『物価安定の目標』を
実現するため、'13年4月に『量的・質的金融緩和』を導入したが、すでに導入から3年以上経過
しており、このコミットメントの意味については再考を要する時期に来ていると思う。

この点、特定の期限を区切り、特定の物価上昇率を目指すという考え方については、
金融政策の効果発現のラグや不確実性を考えあわせると、かねてから違和感を持っている。

新興国を含め世界的にディスインフレ傾向となるなか、なぜ日本だけが特定の期限を区切る
必要があるのか、またそれは金融政策だけで実現可能なのか、といった疑問もある」

物価とは本来、まず景気がよくなったうえで、次に人々の賃金が上がり、
それにともなって上がっていくもの。
それを黒田総裁は強引に金融政策だけで物価高をもたらそうとしているのだから、
うまくいくはずもない。

そもそも、黒田総裁の「異次元緩和」が始まって以来、円安が急伸。
庶民は輸入物価の急激な上昇で生活苦に追いやられているのが実情である。

佐藤氏も率直に、次のように述べている。

「私は、無理に2%を達成する必要はないと考える。人々も、所得の上昇を伴わない物価上昇
は望んでいない。物価上昇が先行すると実質所得の低下からマインドの悪化を招き、消費に
悪影響が及ぶことを我々は経験から学んでいる」

経験から学んでいないのは黒田総裁だけ——。そんな皮肉に聞こえるのは気のせいだろうか。

黒田総裁がトップに就任してから3年。この間、日本は不景気から抜け出せず、
一時は上昇した株価もダラダラと下がり始めた。
総裁任期の満了まで2年を残すが、「打つ手」はもう限られており、
この先に明るい未来は見えてこない。佐藤氏も次のように展望する。

「ゼロ%近い潜在成長率のもと、天候など些細な外的要因でもマイナス成長に陥りやすい
脆弱な経済だけに、先行きも国際金融資本市場や海外経済の動向に振らされやすい
低空飛行となる可能性は高いとみている」

日銀幹部がかくも嘆くほどに、マイナス金利という「愚策」は、
日本経済をめちゃくちゃに滅ぼそうとしているのである。


佐藤健裕氏は元モルガン・スタンレーMUFG証券チーフエコノミストで、
'12年から日銀政策委員会審議委員を務めている。

【転載終了】

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先の記事で、安倍首相が経済政策で退陣もあり得るという可能性の要因です。

黒田氏は「アベノミクス」を中央銀行という立場から後方支援するために、
日銀総裁というポジションを与えられた人事だと個人的には据えています。

この記事からいくと、追加緩和はできなかったと解釈できますね。
強引に追加緩和したら、すべての責任は黒田氏といいうことになってしまいますから。

文中からの低空飛行が続くということは、
もう株価を押し上げる「日銀やGPIFによる介入はしない」、
といっているようにも取れるのですが?

佐藤氏と黒田氏の差は、モルガンスタンレー証券の最前線で修羅場経験のある人と、
財務省から天下り先で“そつなく”やってきた方の大きな違いなのでしょう。

大雑把にくくれば、「民間と役所の違い」です。

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